健康へのステップ〜睡眠編〜

  • 2021年8月6日
  • 健康
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日本人の睡眠時間は欧米諸国と比べると短く、特に女性ではその傾向が顕著に表れているというデータがあります。

また、厚生労働省のデータによると、現在、日本人の5人に1人は、睡眠時に何らかの障害を抱えているとされています。時間が不足しているばかりか、内容にも問題があると考えられる睡眠。

しかも睡眠不足は、高血圧糖尿病動脈硬化といった生活習慣病の原因になるともいわれています。
では私たちの睡眠の実態はどうなっているのでしょうか。

理想的な睡眠を得るにはどうしたらいいのか、探っていくことにしましょう。

睡眠の役割

睡眠の大きな役割は

①脳と体の疲れをとる事
②健康を維持する事と考えられています。

疲労回復に関わることが知られている「成長ホルモン」は、睡眠の前半(寝てからおよそ3時間以内)の 深い睡眠(ノンレム睡眠)時にまとめて分泌され、その後は殆ど出なくなるといわれています。

成長ホルモンは成長期の子供にとってだけではなく、大人にとっても重要です。

傷ついた細胞を修復したり 新しい細胞を生み出すなど新陳代謝を促す働きがあり、疲労回復に大きく関わっています。

睡眠不足だと肌 が荒れるのは、成長ホルモンが十分に分泌されず、皮膚の新陳代謝がスムーズに行われないためです。

成長ホルモンの分泌量は大人になると減ってくるので、安定した深い睡眠を確保することが大切です。

レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠にはレム睡眠ノンレム睡眠という異なった状態があります。

レム睡眠では体を休め、ノンレム睡眠は 脳を休めています。

レム睡眠時では脳や自律神経の活動は比較的高いため、血圧は高めで脈拍も速めです。

ところが筋肉 は緩んだ(弛緩:しかん)状態です。
夢を見るのはレム睡眠時。

金縛りはレム睡眠時の生理現象の一つで、 筋肉が弛緩しているため、意識はあるのに体が動かず縛られたような感覚になるのです。

ノンレム睡眠時は脳活動も自律神経の働きも低下し代謝も落ちてきます。

筋肉は起きているときほど緊張 していませんが、レム睡眠時のように完全に弛緩してはいません。

年齢と睡眠

年齢を重ねると眠りは浅くなり、その分、夜中に目がさめやすくなってきます。

高齢者の睡眠が浅くなる理由は、まだよく分かっていません。

年齢とともに筋肉量が減り、基礎代謝が減 る事、また、活発に動き回る事が少なくなる事から、代謝が活発で活動も盛んだった若いころに比べて必要 な睡眠の質や量が変わってくるという可能性が考えられています。

加齢とともに不眠を訴える人が増えます。

「眠れていない不安」から、眠たくないのに、早めに布団に入り 「眠れない」と悩んでしまう場合があります。

定年後に家でテレビを見て一日を過ごすようになると、その活動 不足が原因で、また長い昼寝が原因で夜によく眠れなくなっている場合もあります。

昼間は努めて体を動かし、筋肉量の低下を少しでも予防して、眠くなってから布団に入る事が不眠の解 消につながります。

睡眠不足が続くと

糖尿病・心臓疾患などのリスクが高まります

深夜まで起きていたり、睡眠不足が続くと、食欲の抑制ホルモンであるレプチンの分泌が抑制され、逆に、 食欲の増進ホルモンであるグレリンの分泌が増加します。

そのため慢性的に睡眠不足になると太りやすくなり ます。

慢性的な睡眠不足によって血糖値が下がりにくくなることが、また血圧が上がりやすくなる事が分かっており、 生活習慣病や心臓疾患のリスクが高くなるという統計結果が報告されています。

重症の無呼吸症候群の人では、睡眠中に何度も呼吸が止まるため、血中の酸素が少なくなります。その 事が原因で、高血圧・心筋梗塞・脳血管障害が多くなることが分かっています。

良い眠りは、血糖値や血圧を下げるという報告があります。睡眠がこれらの疾患の改善だけでなく、予防 にも影響することが分かっています。

仕事でのミスや事故を招きます

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という異なった状態があります。

レム睡眠では体を休め、ノンレム睡眠は 脳を休めています。

睡眠不足では心身どちらの休息も十分にできず、集中力・判断力・記憶力が低下し、また、日中に強い眠気に襲われ、ミスや事故をまねく原因となりる可能性が高くなります。

眠気が多い午前2時~5時は、集中力や判断力が最も低下している事から、ミスが多発するとされてい ます。

深夜までの残業や徹夜は、早朝の作業に切り替えるなどして、できるだけ避ける工夫が必要です。

また、起きてから16時間後の作業能力は、酒気帯びの人(血中アルコール濃度0.03%)と同じになるという研究結果もあります。

気分が落ち込み、うつ病の可能性も

よく眠れている人と、眠れていない人ではうつ病になる頻度は5倍という報告があります。

不眠になるとうつ病のリスクが高まり、また、うつ病になると、その症状として不眠が現れます。

「良い眠り」を促すメラトニンはセロトニンから作られますが、セロトニンには、心の不安や緊張を取り除いて、 自律神経のバランスを調整する働きがあります。

セロトニンは太陽の光を浴びると作られますが、睡眠が乱れ て、日中に十分な活動ができないと、セロトニンが作られず、夜、睡眠を促すメラトニン(セロトニンから作ら れる)が不足することになります。

「睡眠不足や不眠→日中の活動低下でセロトニン減少→メラトニン不足→眠りの促進なし→不眠」 という悪循環が繰り返される事になってしまいます。

ちょっとした工夫で快眠を手に入れる

夜の暗め照明と朝の光

寝室の明かりだけでなく、リビングなど夜すごす部屋の照明も暗めがお勧めです。

明るすぎる照明は、睡眠を 促すメラトニンの分泌を抑制してしまいます。

朝はたっぷり光を浴びましょう。体内時計がリセットされて体が覚醒モードに切り替わります。

お風呂

38~39度ぐらいのぬるめのお湯で、入床時間の1~2時間前までに入浴すると、その後、体温が下がるタ イミングで寝つきやすくなります。
熱いお湯が好みなら就寝2 ~3時間前までに入浴を。

食事とアルコール

朝食にはヨーグルト・チーズ・牛乳などトリプトファンを多く含む食品がお勧めです。

トリプトファンは、日中浴 びる光の作用でセロトニンに変換され、活動を促します。

さらに、夜、光の量が少なくなるとメラトニンに変換さ れ、睡眠を促します。(豆腐・納豆・肉・魚・たまご・ナッツ類にもトリプトファンは多く含まれています。)

夕食は、就寝の3時間前までにはとりたいものです。

どうしても夕食が遅くなってしまった場合は、脂っこい ものは避けて、豆腐や鶏肉ささみなど低脂肪の蛋白質を、いつもの量より少なめにとりましょう。

晩酌は適量ならストレス解消になりますが、基本的にアルコールは睡眠を悪くする作用があります。

アル コールの作用で寝つきは良くなりますが、眠り自体は浅くなり中途覚醒が増加します。

また、利尿作用がある ため、さらに夜中に目が覚める事になります。

また、筋肉を弛緩させる作用が、睡眠時の無呼吸が起きやすく します。

寝つきが良くなるという理由で、お酒を睡眠薬代わりに利用することは避けて下さい。

それでも今夜は徹夜

食事の工夫

内臓に負担のかからない低脂肪のたんぱく質・炭水化物がお勧めです。

豆腐・鶏肉(ささ み)・赤身の牛肉・魚・豆類・チーズやヨーグルトなど、メラトニンやセロトンニンの原材料になる食材を意識して バランスのとれた食事を。沢山食べると眠気がでてくるので量は控えめに。

また、一度に食べずに少しづつ分けて 食べる方法も、食べ過ぎを防ぎながら、眠気の予防にもなるため効果的です。

仮眠が最大の対策

長時間の覚醒で集中力や判断力が低下するのを避けるための対策は仮眠で す。

その日が徹夜になりそうと分かったら、午後2時~4時の間と午前2時~4時の間に15分程度の仮眠を。

眠る事が難しい場合も、目を閉じでリラックスするだけでも効果があります。

疲れがピークに達する前に、短くても 仮眠や休息をとることで仕事の効率を下げない効果があります。

軽い運動

トイレに行く、少し歩くなど軽い運動で気分転換を。

また、息を吸いながら肩を上げ、息を吐き ながら肩を下げる事を10回ほど繰り返す運動も、覚醒を促すとともにPC作業の疲れをとるのには効果的です。

上記を理解して快適な睡眠生活を手に入れて健康体を作っていきましょう!

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